競馬で、「レコード」や「レコードタイム」、「レコード勝ち」という言葉を聞くことがあると思います。

競馬に詳しい方は、その意味はご存じでしょう。

ですが、競馬初心者でよく分からないという方もいらっしゃるようです。

これらの言葉は、簡単に言うと、新記録でレースに勝つこと、そのときのタイムということです。

人間でも、陸上競技や水泳などで新記録が出ることがありますよね。
日本記録や世界記録、オリンピックレコードや大会レコードなど。
基本的には、それと同じです。

ただ、一口にレコードといっても、競馬では複数のレコードがあります。
そのため、混乱が生じるのだと思います。

以下に、それぞれのレコードタイムについて、説明していきます。

コースレコード

一般的にレコードというと、コースレコードのことを指します。
実況で「レコードを記録しました!」というのも、掲示板に赤い文字でレコードと表示されるのも、コースレコードなります。

コースレコードとは、その名の通り、コースのレコードという意味です。

例えば、東京競馬場には、芝2400mのコースがあります。
この芝2400mのコースで今までで1番速いタイムを出せば、それがコースレコードということです。

東京競馬場の芝2400mのコースでは、日本ダービーやジャパンカップなどのレースが行われます。
ここで、日本ダービーというレースの歴史の中で1番速いタイムで勝ったとしても、ジャパンカップでそれを上回るタイムがすでに存在していれば、コースレコードとは言いません。

実際、2022年6月の時点で、東京競馬場の芝2400mのレコードタイムは、2018年にジャパンカップでアーモンドアイが記録した2分20秒6です。
対して、日本ダービーのレコードタイムは、2022年にドウデュースが記録した2分21秒9です。

東京競馬場だけでなく、どの競馬場でも、同じコースで複数のレースが行われるのが普通です。
コースレコードは、レースで新記録を打ち立てるのはもちろんですが、同じコースで行われる他のレースの全てを含んだレコードタイムということになります。

レースレコード

競馬には色々なレースがありますが。
その各レースで1番速いタイムのことを、レースレコードと言います。

コースレコードとは違って、同じコースで行われるレースでも、各レースで1番速いタイムを記録すれば、レースレコードとなります。

先に例としてあげた日本ダービーとジャパンカップでは、ドウデュースの2分21秒9が日本ダービーのレースレコード、アーモンドアイの2分20秒6がジャパンカップのレースレコードです。

ただし、競馬の全てのレースで、レースレコードという言葉が使われるわけではありません。
現在では、1番速いタイムでレースを勝ったとしても、ほぼG1レースでしかレースレコードとは言いません。

競馬には数多くのレースがありますからね。
その全てのレースに、レースレコードという記録をつけると、とんでもない数になってしまいます。

もちろん、それぞれのレースに1番速いタイムが存在し、それをレースレコードということはできますが。
一般的には、主要なレースでしかレースレコードという言葉は使われないんです。

また、「レコード勝ち」という言葉は、レースレコードではあまり使いません。
「レコード勝ち」という言葉は、コースレコードを記録してレースで勝った場合に使われるのが普通です。

なお、G1以外の主なレースでなくても、そのレースでコースレコードを記録すれば、当然コースレコードになります。
たとえ、新馬戦や未勝利戦や1勝クラスのレースでも、レースが行われたコースで1番速いタイムをたたき出せば、そのタイムがコースレコードとなるわけです。

日本レコードと世界レコード

競馬でも、日本レコードと世界レコードがあります。
その名の通り、日本レコードは日本で最も速いタイム、世界レコードは世界で最も速いタイムのことです。

ただし、日本レコードも世界レコードも、距離別に記録されます。

例えば、芝2000mのコースは、日本の中央競馬場の全てにあります。
そのため、もし中山競馬場の2000mでコースレコードを記録しても、他の競馬場でそれを上回るタイムがすでに存在するなら、日本レコードとはなりません。

実際、2022年6月の時点で、中山競馬場の芝2000mのコースレコードは、2015年の中山金杯でラブリーデイが記録した1分57秒8ですが。
芝の2000mの日本レコードは、東京競馬場の1分56秒1です。
2011年の天皇賞秋で、トーセンジョーダンが記録したものとなります。

競馬場によっては、コースの途中に坂があったり、なかったりするので、競走馬が完走したときのタイムも違ってくるわけです。

その中で、芝の2000mというコースで最も速いタイムが、芝2000mの日本レコードになるわけです。
各競馬場のコースレコードで1番速いタイムが、日本レコードということですね。

世界レコードも同じ理屈です。
世界各地にある競馬場のなかで、距離別に1番速いタイムが世界レコードとなります。

例えば、芝の2400mというコースは世界中の競馬場にありますが。
世界レコードは、先述したアーモンドアイの2分20秒6となります。
芝の2400mで、世界一速いタイムということです。

世界各地にある競馬場も、それぞれ特徴があるので、競走馬が完走するタイムが違ってきます。
特に日本の競馬場は、馬場が硬いという特徴があり、競走馬がスピードに乗りやすいとされ、世界レコードが出やすい傾向にあります。